2021 年 4 月 12 日付けで結婚しました。ご祝儀をくれる心優しい方がいたらこちらから贈っていただけると大変喜びます。
妻は去年の 11 月からパートを始め、今年の 4 月初頭から大学に通いはじめ、 4 月 12 日付けで結婚したわけですが、扶養関係の書類を書いている時に、妻の雇用形態が業務委託契約であることがわかりました。ここで私の頭がパンクしたので扶養について調査した結果をまとめます。
注意
- この記事の制度等は 2021 年 4 月 16 日現在のものを使用しています。これらは今後変更される可能性があります。
- この記事の内容は誤りや推測を含む可能性があります。誤りを発見された方はお手数ですが @wn-seko までご連絡ください。
目次
扶養とは
扶養の種類
扶養には社会保険と所得税の 2 つの観点があり、それぞれ独立しています。社会保険とはここでは健康保険と厚生年金保険のことを指しており、扶養家族を扶養者の健康保険に加入することができます。所得税は配偶者の場合、配偶者控除と配偶者特別控除のことを指しており、所得税の軽減を行うことができます。
扶養の範囲
所得税の扶養では配偶者が対象となるものとして配偶者控除と配偶者特別控除がありますが、適用するためには原則として同居している必要があります。また、婚姻関係にない内縁の妻を対象にすることはできません。
社会保険の扶養では生計をともにしている実態の方が優先されるため、内縁の妻を対象にすることができます。また、配偶者に関しては同居していなくても対象にすることができます。
社会保険
社会保険とは
社会保険は健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険をまとめたもので、扶養に関するものは健康保険と厚生年金保険が挙げられます。雇用保険と労災保険は企業が従業員に対してかけるものなので扶養とは直接関係ありません。扶養者の社会保険に被扶養者を加入する際には以下の制限事項を守る必要があります。
収入に関する制限
認定対象者の年間収入が 130 万円未満(認定対象者が 60 歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は 180 万円未満)
引用:全国健康保険協会「 被扶養者とは? 」
この制限があるため、被扶養者の年収が 130 万円を超えてしまうと保険加入の審査が通らなくなります。社会保険の場合は所得とは異なり、**月々の収入で判断されるため、いずれの月も 108,333 円(130 万円 / 12 ヶ月)を超えてはいけません。**超えてしまうと保険に加入できない上、加入していた場合は脱退になります。また、「所得」ではなく「収入」なので控除や非課税、経費などは関係なく一定期間で得られた収入が基準値を超えてはいけません。
妻の社会保険に関する制限
**妻が勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用を受けることになったときは、収入に関する制限の範囲内であっても被扶養者の認定は取り消しになります。**ここで気をつけたいのが、以下のいずれかの条件を満たすと厚生年金保険および健康保険の加入義務が発生することです。
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年収 130 万円以上で通常の就労者(フルタイムの正社員など)の所定労働時間および所定労働日数のおおむね 3/4 以上勤務している
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以下の条件をすべて満たす
- 週 20 時間以上勤務
- 月額賃金が 8.8 万円以上(年収 106 万円以上)
- 勤務期間 1 年以上見込み
- 学生ではない
- 従業員 501 人以上の企業
勤務先で社会保険の適用を受けることになった場合は被扶養者の認定は取り消しになりますが、扶養者認定は自動喪失されないため、認定取り消し申告を忘れると医療費の返還を求められます。
所得控除
所得控除とは
給与などでお金が手に入ると入手した金額に応じて税金(所得税)が発生し、実際に支払われた金額よりもらう金額は少なくなります。所得控除は各納税者の個人的事情を加味して所得税を減らす仕組みです。所得控除には種類がありますが、妻の扶養に関係するものとしては配偶者控除、配偶者特別控除があります。さらに、私の妻は学生なので勤労学生控除も適用されます。
収入と所得
本稿では用語を以下のように定義しています。
- 収入: 主に会社からもらう給与や株の利子配当など、私達に支払われるお金のことで課税対象のものと非課税のものがある
- 所得: 課税対象の収入から所得控除を引いたものが所得(個人事業主等の場合はさらに経費も引く)
- 所得税: 所得税は所得に対して発生する税金で、その割合は所得の金額帯によって決まる
(基礎控除を除く)配偶者控除などの控除制度は所得が一定以下の時に発生することがあります。控除によって所得を減らすことができるので所得税が下がります。また、所得控除の計算の結果、所得が 0 以下になった場合は所得なしとみなされ所得税が発生しません。
所得税や所得控除は所得を得た人に対してそれぞれ発生するので、次項では妻と夫のそれぞれの所得控除について考えていきます。
妻の所得控除
妻の受ける所得控除は以下などがあり、控除の結果所得がなければ所得税が発生しません。
基礎控除
控除額: 48 万円
最低限の収入を確保するための控除で(ほぼ)すべての人が受けることができます。年収が 2400 万円を超えると徐々に下がり、2500 万円を超えると受けられなくなります。
給与所得控除
控除額: 55〜195 万円
給与所得を確保するための控除で収入によって変動します。年間の収入が 162.5 万円以下の場合は一律で 55 万円になります。パートなどで働いている人がよく耳にする「103 万円の壁」は基礎控除と給与所得控除をあわせた金額のことで、この金額を超えてしまうと所得税が発生します。フリーランスなどの業務委託契約で得られる収入は事業所得または雑所得になるため給与所得控除の対象にはなりません。
青色申告特別控除
控除額: 10 万円 または 55 万円 または 65 万円
業務委託契約を結んでいるフリーランスの人は青色申告をして年度末に確定申告をすることが多いかと思います。青色申告をして特定の条件を満たすと、特典として 55 万円の控除が得られます。また、e-Tax による申告をしている場合は 65 万円の控除が得られます。詳細は No.2072 青色申告特別控除 を参考にしてください。
勤労学生控除
控除額: 27 万円
学生で働いている人に発生する控除ですが、(基礎控除を除く)合計所得金額が 75 万円以下という条件があります。そのため、一般的には給与所得控除の 55 万円と合算して所得が 130 万円以下の人しか受けることができません。また、基礎控除と給与所得控除の合算値である 103 万円以下の場合は、そもそも所得が発生しないため勤労学生控除の恩恵に預かれません。つまり、勤労学生控除が発生するのは収入が 103 万円〜130 万円の間の場合になります。
勤労学生で業務委託契約の妻の所得控除
基礎控除(48 万円) + 青色申告特別控除(55 万円) + 勤労学生控除(27 万円) = 130 万円
となるので 130 万円までは所得税が発生しません。130 万円を超えた金額が妻の所得になり所得税が発生します。
夫の所得控除
妻を扶養に入れることによって夫が受ける所得控除は配偶者控除、配偶者特別控除があります。
配偶者控除
控除額: 13〜38 万円
配偶者を養うための控除で夫の年収によって控除額が変動します。年収が 900 万円以下の場合は 38 万円の控除を受け取れます。控除を受けるには以下の条件を満たす必要があります。
(1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が 48 万円以下(令和元年分以前は 38 万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が 103 万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
引用:国税庁「No.1191 配偶者控除」
勤労学生で業務委託契約な妻は収入 130 万円以下なら配偶者控除を受けられることになりますが、妻の確定申告を忘れると 48 万円という条件が満たせなくなる可能性があるため、控除を受けられなくなる可能性があります。
配偶者特別控除
控除額: 3〜38 万円
妻の所得が 48 万円を超えた場合 133 万円以下なら段階的に控除を受けられます。控除額は夫の収入と妻の収入によって決まります。詳細はNo.1195 配偶者特別控除を参考にしてください。
まとめ
- 社会保険を扶養に入れる場合は妻の年収を 130 万円以下、月収を 108,333 円以下にする必要がある
- 妻の年間所得が 48 万円以下なら「配偶者控除」、48 万円を超えて 133 万円未満なら「配偶者特別控除」を受けられる
- 妻が勤労学生の場合は 130 万円までは所得税がかからない
- 妻の仕事が業務委託契約の場合は所得税を控除するために青色申告をした方が良い
- 妻が業務委託契約の場合は確定申告は絶対に正しく出さなければならない